大学職員への道
人気職種の一つと言われている大学職員。民間企業からの転職は“狭き門”というイメージを抱いている方も多いかもしれませんね。そこで今回は、2012年に民間企業から大学職員へと転職した成城大学の山岸雅典さんに、転職活動で気をつけることを聞いてきました。
大学職員への道|山岸雅典さんの場合
-山岸さんはなぜ大学職員に?
前職では人材系の企業で、求人広告のライティングを担当していました。仕事を通じて、“何かをつくる”ことの面白さを知るようになったんです。そんなときにたまたま母校である成城大学からOB訪問を受けてほしいという話を受け、大学職員の方とお話しする機会がありました。その方は学生の就職支援を担当していたのですが、大学生の就職活動のあり方を変えようとしていたり、産学連携の企画に奔走していたりと、実に幅広くチャレンジしているということを知ったんです。“大学をつくる仕事”としての側面を知り、大学職員に興味を抱くようになりました。正直それまでは大学職員というと、“レポートを受け取って処理する人”とか”学生に頼まれて書類を発行する人”みたいなイメージしかなかったので…。
-とはいえ、求人広告も“つくるもの”だと思うのですが…?
そうですね。ただ、主にライティングが担当だったということで、企業の採用を支援するためのアプローチの方法が限られていたなとは思っていて。大学職員なら、いろんな角度から“大学をつくる”ということにアプローチできる。その点に魅力を感じました。実際、入職してビックリしましたね。思っていた以上に工夫が出来て、自由度が高いと感じました。
-具体的には、どのような仕事内容なのですか?
今は、入試広報部という部署で働いています。仕事内容としては、「入試の実施」と「広報の実施」の2つですね。具体的には、大学入試の企画・運営や入学志願者を集めるための広報媒体の企画や高校訪問などです。高校訪問は、高校の進路指導にアプローチする、“大学の営業”。効果的に実施すれば入学志願者の確保につながりやすいのですが、専念しすぎると大学入試の準備がおろそかになってしまう。大学入試でミスは絶対に許されないので、業務のバランスは自分でとりながら仕事に取り組んでいます。自由度が高いなと感じたのは、広報としていろいろな媒体の企画にチャレンジできるということですね。先日は入試サイトのリニューアルを担当するなど、映像、WEB、イベント、冊子…と幅広く考えることができます。自分の担当した映像を駅のデジタルサイネージやトレインチャンネルなどで見かけたときは、少し感慨深かったですね。
-いろいろな場面でアイデアを発揮できるんですね!では、なぜ数ある大学のなかで成城大学に?
やはり、母校だからという部分が大きいですね。愛着というか、貢献したい気持ちというか。だから、他の大学は志望しませんでした。ただ、卒業生をあえて採用しない大学もあるので、もし希望される方がいたらそのあたりはチェックしていただきたいですね。
成城大学の場合は、中途入職者が非常に多く、元・営業、元・エンジニア、元・銀行員、元・編集者などなど、さまざまなバックグラウンドを持った人たちが活躍していますよ。少し縁遠いような業界業種でも、学内では実は切実に求めている人材だったりします。
-大学のことを知ろうと思ったら、どうすればいいのでしょう?
まずは、採用ページをチェックすること。あと、財務諸表を公開している大学が多いので、そちらも事前に確認しておくことをオススメしますね。あとは、知り合いを見つけて直接雰囲気や実状を伺うことが大事です。大学職員は意外と横のつながりがあるので、母校の大学職員に問い合わせてみるのも一つの手かもしれませんね。ただ、直接志望する大学にアプローチするのはオススメしません。急に来られても、対応は難しいと思います。
-なるほど。では、最後に大学職員を志望する方へひと言お願いします。
民間企業とは環境が全く異なります。書類のやり取りひとつを見てもルールがあったり、一つのプロジェクトを進めるうえでも調整に時間を要したり…。民間企業なら3ヶ月くらいで終わるプロジェクトでも、大学の場合検討を重ねるために1年くらいかかることもザラではありません。その間も職員や教授の間で調整や折衝に動いたりと、精神的なプレッシャーは少なくありません。“ユルそう”、“ラクそう”といったイメージを抱いている方は、全く異なる環境があるということを知っておいていただきたいです。特にこれからは、大学は少子化を迎え、“選ぶ”から“選ばれる”時代になっていきます。調整を経て色々な施策を実施していかないと取り残されます。大学という職場は、“ユルそうだから”と考える方の居場所でないことを知ってほしいですね。
-大学でチャレンジしたい!こうやって盛り上げたい!という意思の強い方でなければ、活躍は難しいのでしょうね。いろいろ大変なことも多いでしょうが“大学をつくる”という目標に向けて、がんばってください!本日は、ありがとうございました。