株式会社関西ラインの営業（配船・集貨業務や船の運航管理など）（1126335）の転職・求人情報は掲載を終了しています。

「東シナ海で台風発生の恐れあり。来週の空は荒れ模様…」
船が出港する1週間前。飛び込んできた気象予報に、担当者は息を呑んだ。

アジアを駆ける貨物船。その航路を決めるのは、実を言うと船長だけではない。安全性や効率を踏まえて運航管理も計画を立てている。しかし、それは一筋縄ではいかない。あらゆる自然条件を加味してベストな航路を選ぶのだ。

…いやな予感がした。船で運ぶのは大量の鉄鋼コイル。台風に捕まれば着港が遅れて納期に間に合わないかもしれない。荷崩れを起こす危険や、漏水して貨物が錆びる恐れもある。ましてや、高波で思わぬ事故が起きるリスクも捨てきれない。

やはり、台風は避けたい。ここは北へ迂回するのが安パイか。…いや、違う。「気象」だけでなく「海象」も忘れてはならない。この時期北のルートでは、潮の流れに逆らい大幅な遅れに繋がる。あえて、西へ15度、大きく迂回する航路を選択した。

―――翌週、航路の波の高さはギリギリ安全圏。読みは的確だったようだ。
船長からの気の利いた感謝のメールに、思わず笑みがこぼれた。