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今日はホーム球団の最終戦。オレの持ち場は、場内の3塁側6番ゲートの脇だった。試合は両チーム1回からエースの熱投と、必勝パターンへの継投で、9回まで“0-0”の硬直状態。試合の様子は直接見えなくても、試合の流れは歓声で大体分かる。

と思ったら、9回裏は様子がおかしい。相手の守護神が2つの三振を奪った後、まさかの乱調。2つのフォアボールに暴投、満塁策で、あれよあれよと満塁に。代打は2週間前に今シーズンの引退が報じられた大ベテラン。球場は異様な雰囲気に包まれる。

──そういや今日は試合が始まる前から、皆浮足立ってたっけ。プレイボール前の練習時間から、もう客席は埋まり気味。売り子さんたちも慌ただしい様子。ライトから鳴り響くトランペットとスネアの音も、いつもより心臓に響いてきたような──。

なんて考えていたら、「パカンッ！」という気持ちいい木製バットの音と、一瞬の静寂。そして割れんばかりの大喝采。結果はどうなったんだろう。まあ慌てなくても、このあと祝杯のビールを買うお客さん達がすぐに話してくれるか。