通勤手当・交通費ってなんだ?
求人広告や就業規則に書いてある「交通費」について考えてみます。通勤費、交通費、通勤交通費、通勤手当などさまざまな呼び名がありますが、つまりは会社に行くため、もしくは職務上で発生する移動にかかる金銭のこと。給与欄には「交通費、別途支給」「通勤費、全額支給」などと記載されていますが、どんなときでも全額・別途もらえるのでしょうか。
■交通費と通勤手当は同じもの?
会社によってさまざまな呼び名がありますが、ここで一度、交通費と通勤手当(通勤費)について整理してみましょう。交通費=たとえば営業職の人が、顧客先に訪問する際の交通で使った費用を指します。会計科目上では、旅費交通費・出張旅費にあたるものです。会社によっては、社員が立て替えて、後から請求する場合もあります。給与と一緒に支給されるケースが多いですが、あくまで旅費交通費・出張旅費ですので、給与として扱うことはできません。
通勤手当=通勤にかかる費用を補助する目的で、会社が支払う給与の一部です。会計科目上では、給与手当などに該当します。実はこの通勤手当、会社として補助するかしないかは任意になっているのです。通勤に必要な費用を会社が負担しなくてはいけない、という法律は存在しません。ですから、「通勤手当、全額支給」や「通勤手当、2万円/月」など会社ごとの決まりがあるのです。
■給与=課税対象、通勤手当=給与=税金を引かれる?
通勤手当が給与扱いであるため、疑問になるのが、税金を引かれるかどうか。出勤するために必要な費用でありながら課税対象となると、実質、通勤費を満額もらえているとはいえなくなります。あなたの毎月の定期代が1万円であり、会社から補助される額も1万円であった場合、税金を引かれた額しか手元に残らないことになるのです。遠方であったり、定期代が高い人ほど税金を多く払うことになるのでしょうか。
ご安心ください。通勤手当については一定額まで、非課税対象となります。ポイントは「一定額まで」という部分。月額で10万円までが非課税額と定められており、これを超える部分については課税対象となります。たとえば自宅が静岡県の清水にあり、新宿にある会社まで通うケース。新幹線と在来線を利用した場合の定期代は、一ヵ月で13万5220円となります。10万円を超えた3万5220円は課税対象となるのです。
■通勤手当を申請しながら自転車で通っていた場合
労務上の問題になることがある、通勤手当の不正受給について触れておきます。先の述べたように、通勤手当は会社が任意で支払うもの。多くの会社では、従業員の申請により、定められた金額の中で支給しています。この申請では、どの路線を利用して金額はいくらなのかを伝えていることが多いでしょう。会社は申請のあったとおりに通勤手当を支給していて、従業員が定期などを購入せずに徒歩や自転車で通っていた場合。これは、通勤手当の不正受給にあたります。
会社によっては細かく調べなかったり、従業員の判断に任せているケースもあるようですが、厳密にいうと違反にあたることを覚えておきましょう。
マイカーや自転車などを利用して通勤する場合、片道の通勤距離に応じた非課税額が定められています。通勤手当=実費支給という就業規則があり自転車通勤をした場合、定められた通勤距離による支給額があることを頭に入れておく方がよいかもしれませんね。