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懲戒免職とは?懲戒解雇との違いや条件、実際にあった事例などを解説!

懲戒免職とは?懲戒解雇との違いや条件、実際にあった事例などを解説!

「懲戒免職」という言葉の意味を詳しく説明することはできますか?なんとなく意味は知っているけど、はっきりとした言葉の定義や厳密な基準は知らないという人は意外と多いのではないでしょうか。

 

本記事では「懲戒免職」の意味を分かりやすく紹介していきます。「懲戒解雇」や「普通解雇(クビ)」との違いやその条件、実際にあった事例などと一緒に詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!

懲戒免職とは?意味を分かりやすく解説!

懲戒免職とは、不正行為や重大な過失が原因で行われる最も重い公務員に対する懲戒処分の一つです。職場の秩序や企業の信頼性に深刻な影響を与える行為を理由に、会社から正式に退職させられることを指します。つまり、簡単に言うと「公務員の強制解雇」のことです。

懲戒免職と懲戒解雇との違い

懲戒免職は主に公務員に適用される処分である一方で、懲戒解雇は民間企業での懲戒処分の一種のことを指します。どちらも、社員の重大な違反行為や不正行為が原因で行われる「解雇処分」であるということは同じですが、処分が適用されるのが公務員であるか、民間企業の社員であるかが一番の違いとなっています。

普通解雇(クビ)と懲戒解雇との違い

懲戒解雇は会社の信頼を損なう重大な不正や犯罪行為が原因の解雇処分であるのに対して、普通解雇(クビ)は業務遂行能力不足、長期の欠勤、または業績悪化に伴うリストラなど、従業員の重大な違法行為が伴わない解雇のことを指します。つまり、解雇になる「原因(理由)」が一番の違いであると言えるでしょう。

 

懲戒解雇によって解雇されたのか、普通解雇であるかどうかによって、退職金の支給や、失業保険の受給に違いが出る場合もあります。

懲戒処分の種類

懲戒処分とは、社員や公務員が職務規律を乱した際に科される制裁のことです。企業や公的機関が従業員に対して課す処分であり、組織の規則や法律に基づいて適切に行われます。処分の重さは違反行為の程度に応じて変わり「懲戒免職(懲戒解雇)」に加えて以下の4種類があります。

 

【懲戒処分の種類】

  • 免職(解雇)
  • 停職
  • 戒告
  • 減給

免職(解雇)

「免職(解雇)」は、懲戒処分の中でも最も重い懲戒処分で、雇用契約を終了させる処分です。横領や暴力、機密情報の漏洩など重大な違反行為が発覚した際に適用されます。免職処分を受けると職を失うだけでなく、退職金が支給されない場合がほとんどであり、社会的信用を大きく損なう結果となります。

 

特に公務員の場合は、再雇用に対する制限が設けられることがあり、影響はさらに深刻です。この処分は、組織の存続に影響を与えかねない重大な事態に対応するための措置と言えるでしょう。

停職

「停職」は、一定期間、従業員の就業を停止させる処分で、その間の給与も支給されません。職務怠慢やパワハラ、法令違反など、解雇には至らないものの重大な違反行為に対して適用されます。

 

停職期間中は無給となるため、従業員に経済的な負担を与えると同時に、職場での評価にも悪影響を及ぼします。また、停職処分は記録に残るため、今後の職務内容や昇進にもマイナスの影響を及ぼす可能性があります。この処分は、従業員に対して反省を促すとともに、再発防止を目指すものです。

戒告

「戒告」は、比較的軽い処分であり、違反行為に対して厳重な注意を行い、その内容を記録として残すものです。軽微な規律違反や職務怠慢が発覚した場合に適用され、文書や口頭での通知が一般的です。

 

この処分は労働者に対する警告としての役割を果たし、再度の違反行為があった場合に重い処分を適用する根拠となります。戒告は組織内での信頼を損なうことにつながり、昇進や評価にも悪影響を及ぼすことがありますが、適切に対応すれば復帰が可能な処分とも言えます。

減給

「減給」は給与の一部を減額する処分で、業務上の過失や規律違反が原因となります。減給額は法律で定められた範囲内で行われるため、従業員に過度な経済的負担を与えないよう配慮されています。

 

処分の期間は通常1ヶ月から数ヶ月程度であり、会社への損害や規律違反の影響が軽微な場合に適用されます。減給処分は、従業員に経済的なペナルティを与えることで反省を促す一方で、職場復帰を妨げない配慮もされています。

懲戒免職(懲戒解雇)になる場合の条件

懲戒免職(解雇)は、懲戒処分の中でも最も重い措置であるため、その実施には適切な手続きが求められ、規定や前例に基づいた公平性が確保される必要があります。ここでは、懲戒免職に至る具体的な条件について詳しく説明します。

 

【懲戒免職(解雇)になる条件】

  1. 解雇処分になるほど重い罪を犯した場合
  2. すでに注意や処分を受けていていた場合
  3. 解雇処分になると就業規則で定まっていた場合
  4. 他にも同じ状況で解雇になった社員がいたことがある場合
  5. 適切な手続きが行われた上で解雇処分になった場合

1.解雇処分になるほど重い罪を犯した場合

労働者が重大な規律違反や犯罪行為を犯した場合、組織や職場の信頼を著しく損ねるため、懲戒免職(解雇)が適用されます。例えば、横領や着服、職場内外での暴力行為、業務上の重大な過失などが該当します。これらの行為は職場全体に悪影響を及ぼすため、解雇処分として免職される可能性が高くなります。

2.すでに注意や処分を受けていていた場合

過去に軽度の懲戒処分や口頭注意を受けていたにもかかわらず、改善が見られず同様の問題が再発した場合、免職処分に進むことがあります。例えば、業務態度が改善されずに複数回の注意を受けても行動を改めないケースや、戒告や停職を経た後に再び重大な違反行為を犯した場合です。

3.解雇処分になると就業規則で定まっていた場合

組織の就業規則において、特定の違反行為が発覚した際に解雇処分とする旨が明記されている場合、該当する行為を行った従業員には免職が適用されます。例えば、「会社の財産に重大な損害を与えた場合は懲戒処分とする」などの規定に基づいて処分が行われます。この場合、事前に就業規則が労働者に周知されていることが重要な条件となります。

4.他にも同じ状況で解雇になった社員がいたことがある場合

過去に同様の状況で他の従業員が解雇された前例がある場合、一貫性を保つために懲戒免職(解雇)が適用されることがあります。このような対応は、処分が公正で差別のないものであることを示すために必要です。たとえば、同じ違反行為を行った別の社員が懲戒免職(解雇)となった場合、新たに違反を犯した社員にも同様の処分が科される可能性が高くなります。

5.適切な手続きが行われた上で解雇処分になった場合

懲戒免職(解雇)を適用するためには、法的に適切な手続きを経る必要があります。不当解雇とならないよう、違反行為の調査、本人への弁明の機会提供、そして処分内容の合理性が確保されることが求められます。これらの手続きを経た上で正当性が認められる場合、懲戒免職(解雇)が適用されます。

懲戒免職(懲戒解雇)になった事例を紹介!

上記では、懲戒免職(解雇)になる条件についてご紹介しましたが、ここでは、実際に懲戒免職(解雇)になった事例をご紹介します。

 

【懲戒免職(解雇)になった事例】

  1. 嘘をついて手当を受け取っていた
  2. 競合他社への悪質な情報漏洩
  3. 他社員に精神的、または肉体的に大きな被害を与えた
  4. 職務に支障があるような経歴詐称

1.嘘をついて手当を受け取っていた

ある従業員が、実際には該当しない条件にもかかわらず、扶養手当や通勤手当などの支給を受けるために虚偽の申告を行っていたというケースがありました。この行為は会社の規則を意図的に違反し、金銭的な利益を不正に得たものであるため、重大な処分の対象となりました。

 

このような場合、会社は従業員に対して返金を要求するとともに、懲戒免職(解雇)などの厳しい処分を科すことがあります。特に長期間にわたって不正が行われた場合、その影響は組織全体の信頼性にも及びます。

2.競合他社への悪質な情報漏洩

別の事例では、従業員が勤務先の機密情報を競合他社に提供し、会社の利益を損なう結果を招いたことが発覚したケースがありました。情報漏洩には、顧客データや営業戦略、技術情報などが含まれる場合があり、会社にとって多大な損害となります。

 

このような行為は、就業規則や秘密保持契約に違反するだけでなく、場合によっては法的責任も追及されます。処分としては、懲戒解雇が適用されるのが一般的であり、加えて民事訴訟や刑事告訴に発展する可能性もあります。

3.他社員に精神的、または肉体的に大きな被害を与えた

職場内でのパワハラやセクハラ、暴力行為などにより、他の従業員に精神的または肉体的な被害を与えた場合も、懲戒免職(解雇)の対象となるケースがありました。例えば、上司が部下に対して継続的なパワハラを行い、精神的な負担が原因でその部下が休職に追い込まれた場合などが挙げられます。

 

このような場合、会社の調査を経て事実が確認されれば、加害者に対して懲戒免職(解雇)が科されることがあります。また、この処分は被害者への謝罪や再発防止策の一環として行われることもあります。

4.職務に支障があるような経歴詐称

採用時に、学歴や職歴、資格などを偽って報告し、その後の職務遂行に影響を与えた場合も、懲戒免職(解雇)の対象となったケースがあります。例えば、特定の資格が必要な職種で資格を偽って採用され、業務が適切に遂行できないことが判明したケースが挙げられます。

 

経歴詐称は、会社に対する信頼を大きく損なう行為であり、通常は解雇や懲戒免職が科されます。また、採用段階での詐称行為は、過去に受けた給与の返還請求や損害賠償請求の対象となることもあります。

懲戒免職になりそうでならない!?無効になった懲戒免職(懲戒解雇)例

懲戒免職(解雇)は、労働者の重大な違反行為に対する厳しい処分ですが、場合によってはその適用が無効とされることがあります。厳しい処罰であるからこそ、その判断は慎重に行われ、不適切な手続きや不十分な理由による処分は、後に撤回されることも少なくありません。以下では、実際に懲戒免職(解雇)が無効となった具体的な事例を紹介します。


【無効になった懲戒免職(解雇)例】

  1. 経歴詐称による懲戒解雇が無効になったケース
  2. 勝手に会社のデータを持ち帰ったが懲戒解雇が無効になったケース
  3. 痴漢で逮捕されたが、懲戒解雇が無効になったケース
  4. セクハラをしていたが、懲戒解雇が無効になったケース

1.経歴詐称による懲戒解雇が無効になったケース

採用時に学歴や資格を偽って報告していたことが後に発覚し、会社が懲戒解雇を決定したケースです。しかし、裁判所は、詐称が業務遂行に直接的な影響を与えず、また会社側が採用段階で適切な確認を怠っていた点を指摘しました。その結果、処分は不当と判断され、懲戒解雇が無効となりました。

 

この事例は、詐称の内容が業務に与える影響や、採用時の手続きの適正性が重要視されることを示しています。

2.勝手に会社のデータを持ち帰ったが懲戒解雇が無効になったケース

ある従業員が、会社の許可を得ずに業務データを個人の端末にコピーし持ち帰りました。会社はこれを情報漏洩のリスクと見なし、懲戒解雇処分としました。しかし裁判所は、データの使用目的が正当であり、実際に漏洩や損害が発生していない点を考慮し、処分を無効としました。

 

このケースでは、行為の悪質性や実害の有無が処分の正当性を左右するポイントとなりました。

3.痴漢で逮捕されたが、懲戒解雇が無効になったケース

次に紹介するのは、公共の場で痴漢をしたとして逮捕された従業員が、会社から懲戒解雇を言い渡された事例です。しかし裁判所は、痴漢行為が会社の業務や信用に直接的な影響を及ぼしていない点や、刑事裁判での有罪判決が確定していない段階での処分が不適切と判断しました。その結果、懲戒解雇は無効とされました。

 

この事例は、労働者の私的な行為と職務上の責任の関連性が慎重に判断される必要があることを示しています。

4.セクハラをしていたが、懲戒解雇が無効になったケース

従業員が職場で同僚に対してセクハラ行為を行い、会社は調査の結果をもとに懲戒解雇を決定しました。しかし、処分の過程で被害者への聞き取りが不十分であったことや、セクハラ行為の具体的な内容が曖昧であったため、処分の正当性が否定されました。また、加害者側に十分な弁明の機会が与えられていなかったことも指摘され、懲戒解雇は無効とされました。

この事例は、公正な手続きの重要性を改めて浮き彫りにしています。

懲戒免職(懲戒解雇)になったら、退職金・年金・失業保険はもらえない?

懲戒免職(解雇)は最も重い懲戒処分であり、職場だけでなく、経済的な面でも大きな影響を及ぼします。なぜなら、退職金、年金、失業保険といった労働者の生活を支える制度にも、その影響が及ぶ可能性があるからです。ここでは、それぞれの項目について詳しく解説します。

退職金はもらえない場合も!?

懲戒免職(解雇)となった場合、退職金が支給されるかどうかは会社の就業規則や退職金規程によります。多くの企業では、懲戒解雇者に対して退職金を支給しない、または大幅に減額する旨が規定されています。例えば、「会社に重大な損害を与えた場合は退職金を全額没収する」といった条項が設けられていることが一般的です。

 

ただし、懲戒免職(解雇)の内容が軽微で、特に会社に大きな損害を与えなかった場合には、一部の退職金が支払われるケースもあります。最終的には、規程の内容と労働者が懲戒免職(解雇)となった理由に依存します。

年金は懲戒処分の影響はない

懲戒免職(解雇)を受けたとしても、年金への影響は基本的にありません。公的年金(国民年金や厚生年金)は、労働者がこれまでの勤務中に積み立てた保険料に基づいて給付されるものであり、懲戒処分の有無にかかわらず支給されます。

 

ただし、懲戒免職(解雇)によって収入が途絶えた場合には、その後の保険料納付が難しくなることも考えられます。こうした場合には、免除申請や将来の給付額の減額について注意が必要です。

失業保険は受けられない

失業保険(雇用保険の基本手当)は、自己都合退職や会社都合退職により仕事を失った人を対象としていますが、懲戒免職(解雇)の場合は「重大な規律違反」に該当するため、失業保険を受け取ることができません。

 

これは、雇用保険法において、懲戒免職(解雇)が労働者の責に帰すべき行為とみなされるためです。そのため、懲戒免職(解雇)となった場合、次の仕事を探す際に失業保険を頼ることはできず、経済的な困難が生じるリスクが高まります。

懲戒免職(懲戒解雇)になっても転職できるの?

懲戒免職(解雇)は、経済的・社会的に大きなダメージを与える処分ですが、新しい職場に転職することが絶対に不可能というわけではありません。ここでは、懲戒免職(解雇)後の転職についての注意点を、公務員の場合や履歴書の記載義務などを踏まえて詳しく解説します。

公務員の場合、制限されることも

公務員が懲戒免職処分を受けた場合、特定の業務や役職への再就職に制限がかかるケースがあります。例えば、公務員法では、懲戒免職となった人が再び公務員として採用されることは原則として非常に難しくなります。特に重大な不正行為や犯罪が理由の場合は、事実上、公務員として復帰する道が閉ざされます。

 

一方で、民間企業への転職に関しては法的な制限はありません。しかし、懲戒免職の背景によっては、採用担当者にネガティブな印象を与える可能性があるため、転職活動は慎重に行う必要があります。

履歴書に書かないとだめ?

履歴書に懲戒免職(解雇)を受けた事実を書く義務はありません。ただし、過去の職歴や退職理由については、企業の採用担当者が面接などで質問してくる可能性があります。この場合、虚偽の説明をすることは避けるべきです。嘘が発覚した場合、信頼を損なうだけでなく、採用後に再び問題となるリスクがあります。

 

懲戒免職(解雇)について説明する際は、具体的な事実に基づき、誠実かつ反省の意を込めた態度を示すことが大切です。また、なぜそのような状況に至ったのか、自分がどのように改善に努めているのかを説明することで、前向きな印象を与えることができます。

懲戒免職(懲戒解雇)後の転職を成功させる方法

懲戒免職(解雇)は、職歴において大きな傷となりますが、新たな職場でやり直すことは可能です。重要なのは、過去の経験を教訓に変え、前向きな姿勢を示すことです。以下では、懲戒免職(解雇)後に転職を成功させるための具体的な方法を解説します。

 

【懲戒免職(解雇)後の転職を成功させる方法】

  1. 過去の失敗を認め、反省を示す
  2. スキルや実績を強調する
  3. 資格取得やスキルアップで信頼を回復

1.過去の失敗を認め、反省を示す

懲戒免職の事実は隠すことができません。面接で過去の出来事について質問された場合には、正直に説明し、自身の非を認めることが大切です。ただし、事実だけを淡々と述べるのではなく、どのように反省し、今後同じ過ちを繰り返さないために何をしているのかを伝えることで、採用担当者に前向きな印象を与えることができます。

 

【例】
「当時の行動が誤っていたことを深く反省しています。現在は◯◯の資格取得を目指して努力しており、自分を見つめ直す時間を持ちました。」

2.スキルや実績を強調する

過去の失敗があったとしても、それまでに積み重ねたスキルや実績は無視できない要素です。これまでにどのような成果を上げてきたか、業務でどのような価値を提供してきたかを具体的に説明することで、自身の強みをアピールしましょう。

 

【例】
「これまでに営業職として年間目標を120%達成し、チームリーダーとしても結果を出してきました。この経験を活かし、再スタートしたいと考えています。」

3.資格取得やスキルアップで信頼を回復

懲戒免職後の時間を有効に使い、資格取得やスキルアップに努めることで、再スタートの準備を整えることができます。これにより、採用担当者に「この人は過去を反省し、成長しようとしている」といった前向きな印象を与えることができます。

 

【例】

  • 業界関連の資格取得
  • ビジネスマナーやコミュニケーションスキル向上のための講座受講
  • ITスキルや語学の習得

まとめ

懲戒免職は、社会的影響やその後のキャリアに大きな影響を及ぼす重い処分です。その意味や種類、条件、事例について知ることで、適切な対応策を考えることが可能です。また、転職活動においては過去の反省を活かし、前向きに行動することが鍵となります。

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