内定と内々定の違いとは?

転職活動における一つのゴールである「内定」の獲得。では、「内々定」とは一体何でしょう?学生時代の就職活動で耳にしたことがあるかもしれませんが、中途採用の現場でも使われることのある内々定。そこで今回は、内定と内々定の違いについてご紹介。よくわからないまま知らずに失敗することがないように、下記を読んで理解を深めてください。
内定って何?
≪ココがポイント≫
☆内定は正式な労働契約
☆契約の成立は双方は合意したとき
内定とは一般的に、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれる正式な労働契約のことです。新卒で就職する場合は卒業後を始期としたもの、中途採用の場合は採用通知と捉えることができます。内定は正式な労働契約ですので、双方の承諾が必要です。解約権(内定取り消しなど)を企業が行使することは、解雇と同等の意味を持ちます。
内々定とは?
≪ココがポイント≫
☆内々定は企業側からの採用予定通知
☆労働契約が締結されていない状態
☆経団連の倫理憲章で定められた正式な内定日前の内定状態(新卒の就職活動時)
内々定と内定はほとんど同じ意味を指しますが、労働契約には至っていない状態のことを指します。一般的に就職活動で「内々定」が用いられる場合、「採用予定通知」と捉えることできます。
内定と内々定の法的な違いとは?
改めて整理してみましょう。
『内々定』とは、『労働契約が締結される前段階』であり、労働契約による拘束関係は発生しません。一方で、『内定』は、採用内定通知書等に記載された取消事由が発生した場合に限り、企業が労働契約を解約できる権利が認められた『労働契約』を意味します。
つまり、『内々定』と『内定』は『労働契約』を締結しているか否かという点で異なり、契約関係に基づく拘束力の有無が法的な違いとなります。
内定(内々定)を取り消される可能性について。
内定(内々定)の取消とは、企業が求職者に対して採用を約束したにも関わらず諸事情により破棄することを指します。求職者・企業側それぞれに問題があるときに取消が行なわれることがありますが、具体的にはどのような場合でしょうか?そこで参考になるのが、下記の判断基準です。
・求職者側の事由→入社までに何らかの問題行動を起こしたとき
・企業側の事由→経営状態が著しく悪化したとき
近年、内定(内々定)の取消に関してさまざまな判例が出ていますが、原則的には下記の違いを理解しておきましょう。
内々定の場合には、労働契約が成立していないため、企業がたとえ恣意的に内々定を取り消したとしても、法的に問題にならず、求職者からの損害賠償請求も原則として認められません。
一方で、内定後に取消が認められるのは会社が採用内定当時には知ることができない、もしくは知ることが期待できなかった事実が後に明らかになり、内定取消を行なうことが『社会通念上相当』と認められる場合です。
いかがでしたか?スムーズに就職活動が進めば内定と内々定の違いはあまり意識されませんが、法的には大きな違いがあることがおわかりいただけたかと思います。転職活動がうまくいき、採用通知をもらっても一度立ち止まって「いま自分は内定の状態か、それとも内々定の状態か」と自問自答してみることも、未然にトラブルを防ぐポイントになるかもしれません。