株式会社パンジーの靴製作スタッフ（自社商品の開発および試作品の製作を担当）（915465）の転職・求人情報は掲載を終了しています。

生地に刃先を乗せる。手元にひく。スーッという音が響く。その耳には生地が裁断される音しか届かない。1mmの誤差も許されない世界で、職人は集中力を研ぎ澄ます。

全ては、企画された靴を完璧に仕上げるため。特に生地の裁断には高い精度が要求される。靴は複数のパーツを縫い合わせてつくるもの。寸法に狂いがあればその誤差は縫製のたびに積み重なっていく。1mmのズレが1cm以上の誤差につながるのだ。

寸法の違いはフィット感の違い。足に優しい履き心地をウリにする当社には致命的だ。だからこそ、職人は腕を鳴らす。直線は、生地に刃先を密着させて真っ直ぐに。曲線は刃先を浮かせてしなやかに。生地に描かれた線の上を刃先が吸い込まれるように通っていく。

裁断が難しく見えないのも、職人が職人たる所以。初心者がやれば満足に生地も切れない。刃先には傾斜があり、柄を傾けなければ切り口にも傾斜がつく。傾け過ぎても傾斜が出る。そんなさじ加減をいくつも、同時にやり遂げるのだ。