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「鍛造」とは、金属を叩き鍛錬することで、思い通りの形をつくり、内部の隙間をなくすことで金属の質そのものを高めること。人類が最初に用いた最も古い加工方法とも言われ、美術品としての価値も高い日本刀も、鍛造によって造られている。

私たちが鉄を鍛えて造るのは、建設機械や自動車の内部を支える部品。1200℃に熱せられた鉄を、最大6tもの重量のハンマーで“ゴウン”と打つ。足でペダルを踏んで動かすこのハンマーは、わずかな力加減の差で仕上がりが大きく左右される。

最初は強く、その後2回つづけて弱く。鉄の温度と加工する形により、叩く回数や強弱、その順番などは毎回異なる。その力加減を言葉にすることはできない。古臭いと思われるかもしれないが、こればかりは先輩の作業を見て覚えるのが一番の近道だ。

この力加減は鍛造の極意、身につくまではざっと5～6年。身体に染み込ませるしかない。けれど、先輩の背中は、どんな参考書よりも雄弁に語ってくれるだろう。