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美味しいワインを造るには、地道な手間がかかるもの。「おなかがすいた。糖分が足りない」「酵母が少なくて、発酵が進まない…」「もう少し、温度を上げてほしいな」…こんな声を、舌で感じ取るのも醸造家の仕事です。

ぶどうを搾って酵母を入れ、果汁がワインになるまで、毎日のように味見、味見、味見。機械に表示される数字と、自らの味覚や嗅覚を頼りに、酵母の量や、酵母が食べる糖分の量、タンク内の温度などを調整します。ワインたちが気分よく発酵できる環境を整え、理想の味に近づけていくのです。

毎年、山梨で穫れた100トン近いぶどうたちが、じんわりとワインに生まれ変わっていきます。それぞれ手のかかる、ちょっと困った子どものような存在。だからこそ、国内外のお客様に「日本のワインも、美味しいんだ」と言ってもらえたとき、なんとも言えない嬉しさが味わえます。

ぶどうの運搬やタンク内の掃除など、大変なことも多いです。ワインの味見も、数年かけて覚えることになるでしょう。それでも挑む価値がある、抗しがたい魅力がここにあります。