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「母親の遺品を整理してほしい。部屋を片付けようとしても、母が座っていた椅子、お気に入りだった食器に心を奪われ、想い出に耽ってしまう。部屋も心も、整理がつかない」。そう涙ながらに語る遺族の方。

「孤独死した入居者の部屋を片付けてほしい。交友関係もなく、誰にも看取られずに自室で息をひきとったようだ。親族に連絡してもそちらで処理してほしいと言われて困っている」。困惑した様子で話されるアパートの大家さん。

私たちは、日々さまざまな現場に訪れます。時には死後数日経ってご遺体が発見された部屋に伺うこともあります。故人のご親族から遺品の引き取りを拒否され、やるせない気持ちになることもあります。正直、目を背けたくなることも多いでしょう。

でも、ただ部屋を片付けるだけの仕事では、決してありません。やはり故人がいた空間のまま時が過ぎると、気持ちは引き戻されます。故人や遺族の方に配慮をしながらも迅速に片付け、時間を前に進めることが私たちの使命。人の心の整理をお手伝いする、尊い仕事だと思うのです。