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「家庭用のプリンターで、より光沢のある印刷ができないものだろうか」

200X年X月。当社を訪れた大手複合機メーカーの技術者が、開口一番こう話した。
トナーに含まれている粉体インクを、7ミクロン（＝0.007ミリ）よりも細かくしたいようだ。
険しい表情で懇願する技術者。どうやら他の企業で実現することができなかったらしい。

「よし、とりあえずやってみましょう。ウチの技術なら何とかなるはずです」

本音を言えば、未知の世界だった。しかし、当社にも40年以上の歴史や誇りがある。
チャレンジしないわけにはいかなかった。全員で協力し、綿密な打ち合わせを実施。

時間をかけ、装置の構造、粉体インクを粉砕する角度など、細部まで調整を行なった。
現場は張り詰めた緊張感に包まれる。技術者の立ち会いのもと、いざ最終工程へ。

そして、姿を変えた粉体インク。それを見た技術者は、安堵の笑みをこぼした―――。