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ある日若林のもとに、韓国の某メーカーから半導体部品のオーダーが入った。さっそく先方と交渉を進める若林。ロット数、価格など詳細を決定し、契約書を取り交わす。そのうえで長年取引を重ねてきたアメリカの半導体メーカーに発注した。
――ところが納品日を目前にし、納入先からキャンセルの電話が鳴ったのだ。

アメリカでは、すでに半導体を詰めたダンボールが出荷のときを待っている。今さら白紙に戻すなんて不可能だ。何より一方的な契約破棄はフェアじゃない。そこで若林はペンを取り、エアメールに想いをぶつけた。宛先は、納入先の社長。

『今回の御社の契約変更には疑問を感じます。これからもお互い良きパートナーでいるため、誠実なご対応を期待いたします』。

現在、この納入先との取引はアイテム数・ロット数ともに拡大している。きっかけは若林の手紙。役職に関係なく誠実な仕事を追及する彼に、先方の社長が大きな信頼を寄せたのだ。自分のスキルが海を越えて評価される。そんな醍醐味を味わえる仕事に、若林のチャレンジは止まらない。